遺伝子組み換え作物、7つの疑問・はじめに

2017年07月18日 06:05

イラスト 素材提供「わんパグ

みなさん、こんにちは。このサイトでは、農業の明日、そして新しい技術を取り上げていきます。

新しい農業技術の中で注目されている遺伝子組み換え作物について紹介すると、さまざまな質問を読者や一般の方からうかがいます。

それを7つに整理して紹介し、簡潔に答えを紹介してみましょう。それぞれの疑問と答えは、記事にしてより詳しく説明します。

疑問1・遺伝子組み換え作物は収穫量を増やすのでしょうか? 

答・

遺伝子組み換え作物は、収穫を増やします。この種の作物は、遺伝子操作によって、害虫や病気から穀物を守る性質を与えられます。害虫や病気は、農業収穫の10−30%を減らすとされ、農業で大きな問題になります。その被害や対策の手間がなくなることで、収穫の増加と利益を農家にもたらしています。

PGエコノミクスという調査会社によれば、遺伝子組み換え作物や遺伝子工学技術による収穫量の増加は、2015年までの20年間で、大豆1億8300万トン、トウモロコシ3億5770万トン、ワタ(綿花)2520万トン、キャノーラ1060万トンという推計があります。日本の穀物の国内消費が大豆で年約300万トン、トウモロコシで年1500万トンであることを考えるとこの収穫増は大変大きなものと言えるでしょう。(参考、同社のプレスリリース、「遺伝子組み換え作物の20年」(英語))(疑問1・遺伝子組み換え作物は収穫量を増やすのか?

疑問2・気候変動の抑制に遺伝子組み換え作物は役立つのでしょうか?またそれに耐えられるのでしょうか?

答・

遺伝子工学を活用することで、温室効果ガスを抑制し、また気候の変化に耐える作物を作り出そうとする試みが、各国で行われています。

農業は温室効果ガスの一つである二酸化炭素(CO2)を多く発生させてしまいます。農業では除草が必要です。除草のために農地を耕すことが行われてきましたが、それは土中から放出するCO2を増やしてしまいます。除草剤耐性作物の普及で、耕さなくても雑草防除ができるようになったことから、「不耕起栽培」と呼ばれる耕さない農業が普及し、CO2の発生を抑えられるようになっています。

PGエコノミクスの調査では、2015年において、不耕起栽培の普及など遺伝子組み換え作物の影響で年2670万トンのCO2排出が削減されました。これは1200万台の自動車の年間排出量に相当します。日本の車の保有自動車数の総数は約8100万台であることを考えると、大変大きな量でしょう。

また乾燥耐性作物の普及で、温暖化によって雨が降らず気温が上昇し、干ばつに悩まされる地域でも、作物が育つようになっています。(疑問2・気候変動に遺伝子組み換え作物は役立つのか?

疑問3・遺伝子組み換え作物は人間や環境に安全なのでしょうか?

答・

遺伝子組み換え作物で、食べた人や動物への健康被害は起きていません。この種の作物が販売されて20年経過しましたが有害な悪影響が証明された例はありません。全米科学アカデミーなどもそうした研究を公表しています。環境への悪影響も観察されていません。ただし、新しいものを食べることによって不安を感じる人がいることは当然です。(疑問3・遺伝子組み換え作物は人に安全なのか?

疑問4・遺伝子組み換え作物は、本当に農薬を減らすのでしょうか?

答・

遺伝子組み換え作物の利用で、農薬の使用は減ります。特定の除草剤、特定の害虫にだけ影響を与える遺伝子組み換え作物が栽培されています。農薬は人体や環境への悪影響をなくす改良が続いているものの、それでも危険性はあります。この種の作物でその使用を減らすことは、消費者や生産者の健康維持に役立っています。PGエコノミクスの推計によると、1996年から2015年累計で61.9万トン(数量比率で8.1%)の農薬使用が減りました。(疑問4・遺伝子組み換え作物は、本当に農薬を減らすのか?

疑問5・遺伝子組み換え作物は、経済的な利益をもたらすのでしょうか? 

答・

遺伝子組み換え作物は、開発途上国から先進国まで、農家の収入を増やしています。2015年単年で155億ドル(1兆7050億円)1996年-2015年累計で1677億ドル(18.5兆億円)となっています。増産は穀物価格の変動を抑制する効果があり、消費者のためにも役立っています。(疑問5・遺伝子組み換え作物は、経済的利益をもたらすか?

疑問6・遺伝子組み換え作物は、それを使う国の農業と共存できるのでしょうか? 

答・

遺伝子組み換え作物は、各国で生産が広がり、今では28カ国で生産されています。中国、インドなど開発途上国でも使われています。また単一の品種を広げているのではなく、各国品種に、特別の性質を遺伝子工学の技術で与える形が多いのです。植物の多様性は損なわれていません。(疑問6・遺伝子組み換え作物は、地域の農業、生態系と共存できるのか?

疑問7・遺伝子組み換え作物は、世界と日本の食糧供給と農業にどのような影響を与えるのでしょうか?

答・

世界の人口が爆発的に増えています。2015年に約70億人だった世界人口は2050年までに90億人を超えるでしょう。遺伝子組み換え作物による増産で、食糧不足問題はある程度は解決できることが期待されます。また日本は、衰退する農業で改革の必要性が社会的に合意され、さまざまな試みが行われています。生産性を上げるには、技術革新が必要です。遺伝子組み換え作物を使い自由に消費されるようになれば、農業の効率化、成長をうながすことになるでしょう。日本は年約1500万トンと推定で、世界最大の遺伝子組み換え作物の輸入国です。もっとそれを知り,適切に活用することが望まれます。

* * *

遺伝子工学という新しい技術を農業や食品生産に使うことで、世界と日本の農家もまた消費者も、利益を得られることでしょう。それでは一つ一つの論点を検証していきます。

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