疑問4・遺伝子組み換え作物は、本当に農薬を減らすのか?

2017年07月20日 08:30

写真・活用が進むドローンは農薬散布にも使われ始めた(提供・クボタ)

答・

遺伝子組み換え作物の利用で、農薬の使用は減ります。特定の除草剤を1回散布するだけで雑草だけを効果的に枯らすものや、特定の害虫だけ防除できる遺伝子組み換え作物が栽培されています。PGエコノミクスの推計によると、1996年から2015年累計で61.9万トン(数量比率で8.1%)の農薬使用が減りました。

農薬は虫を減らすため、除草のため、病気の予防などに使われます。基準値を守って使用すれば安全性に問題が無いことが確認されていますが、化学成分を使う以上、その使用の少ない方が、それを使う農家、さらには食べる消費者にとって、いいことは間違いありません。

特に、日本は、虫や病気が多発する高温多湿の気候であること、高齢化に伴う省力化の必要から、農薬が使われやすいとされます。単純に使用量と耕地を比較すると、主要国の7倍も使っているとの試算もあります。

(図1)

(出典・社会実情データ図録)

一方で、農薬によって害虫を減らし、農業生産を増やすというメリットは必要なものです。発がん性が指摘されたDDT(蚊などの駆除)の使用が禁止されるなど、安全面での規制も強化されています。農薬を使うことによる、収穫量の拡大というプラス面と健康被害のマイナス面をどのように考えるかが農業で重要な問題になってきました。

農薬を減らした遺伝子組み換え作物

こうした中で、農薬だけに頼らない雑草や害虫防除の方法を提供したのが遺伝子組み換え技術でした。

遺伝子組み換え作物では、例えばトウモロコシで、殺虫タンパク質を発現させることで、特定の害虫が食べると、殺虫剤を散布しなくてもその害虫を駆除できるという性質を与えることができます。また、特定の除草剤を散布しても枯れない性質を大豆やトウモロコシ、ナタネなどの作物に与えることにより、その除草剤を1回だけ散布すると、周りの雑草だけが枯れて作物は生育できます。それまでは、複数種の除草剤を複数回散布して雑草を防除する必要がありましたが、1種類を1回散布するだけで雑草防除が可能になったのです。(参考記事「日本産の遺伝子組み換えトウモロコシを食べてみた」)

実際に、農家は遺伝子組み換え作物を栽培することで、農薬の使用を減らしています。イリノイ州の農家ダン・ケリーさんは「遺伝子組み換え作物を使うことで、害虫のリスクが減り、生育がよくなったので、密集させ植えるようになり、収益を上げている」と、活用方法を話していました。

農家にとって、作物に行き渡る栄養分を妨げてしまう雑草は悩みのタネ。「かつては時期を見て何回かに分けて除草剤を散布してきた。それでも雑草は生えてくる。農薬を何回も使うわけにはいかないので、最後は人で行うが大変だった」そうです。
(参考記事「最新技術を活用する米国農家(下)−遺伝子組み換え」)

遺伝子組み換え作物PGエコノミクスの推計によると、1996年から2015年累計で61.9万トン(数量比率で8.1%)の農薬使用が減りました。遺伝子組み換え作物を使うと、を農薬の使用と散布の手間がはぶけ、農家には利益が出るのです。

日本では遺伝子組み換え作物を使うことが難しくなっています。北海道の農家の小野寺靖さんは、遺伝子組み換えをめぐるシンポジウムで、雑草が収量を低下させ、草取り作業が農家の負担になっていること紹介し、新しい技術をなぜ使えないのか」と疑問を示していました。(参考記事「成長の可能性に満ちる農業【シンポジウム1】」)

遺伝子組み換え作物を適切に使えば、農薬の使用を減らし、農家の健康と収入増、さらに消費者の健康に役立つのです。

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